「地方に移住して、自然に囲まれながらゆったり暮らしたい」
そう考える一方で、多くの人が不安に感じるのが、移住後の仕事です。
「地方には仕事が少ないのではないか」
「今より大幅に年収が下がるかもしれない」
「希望する職種に就けなかったらどうしよう」
このような不安から、地方移住に興味はあっても、具体的な行動に移せない人は少なくありません。
結論からいえば、地方にも仕事はあります。ただし、都市部と比べて求人数や職種の選択肢が限られる地域があるのも事実です。
大切なのは、「地方に仕事があるか、ないか」だけで判断するのではなく、どのような働き方なら自分が望む暮らしを実現できるのかを考えることです。
今回は、地方移住で考えられる働き方や、仕事探しで注意したいポイントを紹介します。
地方には本当に仕事がないのか

「地方には仕事がない」といわれることがありますが、正確には、仕事がまったくないわけではありません。
地方では、次のような分野で人手を必要としている地域があります。
- 医療・介護・福祉
- 建設・製造業
- 農業・林業・漁業
- 観光・宿泊・飲食
- 物流・運送
- 自治体や地域団体に関わる仕事
一方で、IT、広告、企画、専門サービスなど、都市部に集中しやすい職種は選択肢が少なくなる可能性があります。
また、同じ営業職や事務職であっても、求人数や給与水準は地域によって異なります。そのため、都市部とまったく同じ仕事内容、年収、福利厚生を求めると、仕事が見つかりにくいと感じるかもしれません。
地方に仕事がないというよりも、「自分が希望する条件に合う仕事が少ない」と表現したほうが実態に近いでしょう。
地方移住後に考えられる5つの働き方
1.移住先の企業に転職する
最も分かりやすい方法は、移住先にある企業へ転職することです。
地域によって主要産業は異なります。製造業が盛んな地域もあれば、観光業や農業、医療・福祉の求人が多い地域もあります。
移住先を先に決めるのではなく、「自分の経験を生かせる会社がある地域」を探す方法も有効です。
ただし、都市部から地方企業へ転職すると、年収が下がる可能性があります。求人票の給与だけでなく、家賃、駐車場代、通勤費なども含めて、生活全体で比較することが大切です。
収入が下がっても生活費が大きく減れば、自由に使えるお金や時間が増えるケースもあります。
2.現在の仕事をリモートワークで続ける
勤務先がリモートワークを認めている場合は、仕事を変えずに地方へ移住できる可能性があります。
都市部の給与水準を維持しながら、地方の比較的低い生活費で暮らせることは大きなメリットです。転職による収入減少や、仕事内容が変わるリスクも抑えられます。
ただし、完全在宅勤務であっても、居住地に制限が設けられていることがあります。定期的な出社や転勤の可能性も含めて、移住前に会社の制度を確認しておきましょう。
3.フルリモートの会社へ転職する
現在の会社でリモートワークが難しい場合は、居住地を問わない会社へ転職する方法もあります。
ITエンジニアやWebデザイナーだけでなく、営業、カスタマーサポート、マーケティング、採用など、リモートで働ける職種はさまざまです。
ただし、フルリモート求人は人気が集まりやすく、実務経験や専門スキルが求められる傾向があります。
移住と転職を同時に進めるのではなく、まず転職して働き方を安定させ、その後に移住する順番も検討してみましょう。
4.地域おこし協力隊などの制度を利用する
地域との関わりを持ちながら仕事をしたい人には、地域おこし協力隊も選択肢になります。
活動内容は、観光振興、移住支援、地域商品の開発、情報発信、農林水産業の支援など、自治体によって異なります。一定期間地域で活動しながら、将来の仕事や人間関係をつくれることが特徴です。
一方で、任期があるため、活動終了後の収入源を考えておく必要があります。
制度を利用すること自体を目的にするのではなく、「任期中に何を経験し、その後どのように働くのか」まで考えて応募することが大切です。
5.副業や個人事業を組み合わせる
一つの会社からすべての収入を得るのではなく、本業と副業を組み合わせる方法もあります。
例えば、地域の会社で働きながら、オンラインでライティングや動画編集、Web制作などの仕事を受ける働き方です。農業や宿泊業など、地域の仕事とインターネットを使った仕事を組み合わせる方法も考えられます。
収入源を複数持てば、一つの仕事がなくなった場合のリスクを抑えられます。
ただし、移住してから急に副業を始めても、すぐに十分な収入を得られるとは限りません。移住前から小さく始めて、収入を得る経験をつくっておくと安心です。
地方で仕事を探すときの注意点
年収だけで判断しない
地方企業への転職では、現在より提示年収が低くなる可能性があります。
しかし、年収が下がることだけを見て「生活が苦しくなる」と判断するのは早いかもしれません。
地方では、家賃や駐車場代などを抑えられる場合があります。一方で、自動車の購入費、ガソリン代、保険料など、地方だからこそ増える支出もあります。
移住前には、次の項目を含めて家計を試算しましょう。
- 手取り収入
- 家賃と駐車場代
- 自動車関連費
- 水道光熱費
- 食費
- 通勤費
- 移住後も続けたい趣味や交際費
年収ではなく、「毎月いくら残るのか」「どのような生活ができるのか」で比較することが重要です。
求人サイトだけで探さない
地方の求人は、大手求人サイトにすべて掲載されているとは限りません。
自治体の移住相談窓口、地域のハローワーク、地元企業のホームページ、移住イベントなどにも情報があります。また、地域の人とのつながりから仕事を紹介してもらえることもあります。
インターネット上の求人だけを見て「仕事がない」と判断せず、複数の方法で情報を集めましょう。
移住と転職を同時に決めない
移住と転職を同時に行うと、住む場所、仕事、人間関係、生活環境が一度に変わります。
理想と違った場合でも、「仕事が合わないのか」「地域が合わないのか」を判断しにくくなることがあります。
可能であれば、次のように段階を踏むとリスクを抑えられます。
- 移住候補地を調べる
- 実際に何度か訪れる
- 求人と生活費を確認する
- 仕事を決める
- 短期滞在やお試し移住を経験する
- 本格的に移住する
焦ってすべてを変える必要はありません。
仕事を辞めてから移住するのはおすすめしない

十分な貯蓄や明確な事業計画がない限り、仕事を辞めてから移住先を探す方法には注意が必要です。
収入がない状態では、仕事選びを焦ってしまいます。本来希望していなかった仕事でも、生活費のために妥協して決めざるを得なくなるかもしれません。
さらに、移住直後には引っ越し代、家具・家電、自動車の購入など、想定以上の費用がかかる可能性があります。
できるだけ現在の仕事を続けながら情報を集め、転職先や収入の見通しを立ててから移住するのが安全です。
移住前に準備しておきたいこと
地方移住で仕事に困らないためには、移住前の準備が重要です。
特に、次のような準備を進めておくと安心です。
- 自分の経験やスキルを棚卸しする
- 希望する生活に必要な収入を計算する
- 移住候補地の求人を定期的に確認する
- リモートで働けるスキルを身につける
- 小さく副業を始める
- 移住相談窓口や現地の人から話を聞く
- 半年から1年程度の生活防衛資金を用意する
地方移住では、「現地で仕事を探せば何とかなる」と考えるよりも、移住前から収入を確保する準備を始めることが大切です。
まとめ:地方に仕事はある。ただし、選び方と準備が重要
地方にも仕事はあります。
しかし、都市部と比べて職種や企業数が限られ、希望する仕事や条件が見つかりにくい地域があるのも事実です。
だからこそ、地方企業への転職だけでなく、リモートワーク、地域おこし協力隊、副業、個人事業など、複数の働き方を検討する必要があります。
「どこに移住するか」だけを先に決めるのではなく、「移住先でどのように収入を得るか」までセットで考えてみましょう。
仕事は暮らしを支える大切な要素ですが、年収の高さだけが豊かさを決めるわけではありません。
収入、生活費、自由な時間、仕事内容、地域とのつながりを含めて、自分がどのような毎日を送りたいのかを考えること。それが、後悔しない地方移住につながります。


